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スタッフブログ

民法相続編の改正⑤

2020.01.15

 

こんにちは、税理士の枌です。
民法相続編改正シリーズの第5回ですが、前回に引き続き「遺産分割に関する見直し」から「遺産である預貯金に関する仮払等制度の創設」を取り上げてみたいと思います。
この制度は、平成28年の最高裁の判例がきっかけで誕生しました。
預貯金の一般的なイメージは「自分のお金が銀行や郵便局の口座の中に入っていて、いつでも自由に引き出せるので現金と同じ」というものではないでしょうか。
しかし厳密には、預貯金とは「債権」であり、複数人で分ける事ができるので「可分債権」とも言います。
被相続人が相続開始の時において「可分債権」を有していた場合、その可分債権は当然分割されて法定相続人が各相続分に応じて権利を承継する、というのがそれまでの遺産分割でした。
そうは言っても、相続人の全員で「A銀行の預貯金は長男が、B銀行の預貯金は長女が相続する」という分割協議が成立すれば、当然分割ではなく個別に相続取得することも可能です。
また遺言で預貯金を特定の相続人に取得させることもできます。
当社で相続のお手伝いをさせて頂いたケースでは、ほぼ100%のお客様でこのどちらかで預貯金を相続取得しています。
なので「預貯金を法定相続人が法定相続分で分割取得する」という遺産分割は、よほどバチバチに揉めまくったケースでしかお目にかかれないのだと思います。
この扱いが、平成28年12月19日の最高裁判例でガラッと変わり、預貯金は「相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割される」のではなく、「遺産分割の対象となるもの」になったのです。
つまり、被相続人の預貯金については「遺言で相続取得者が指定されている」か「相続人同士の分割協議で相続取得者を決定した」かのどちらかでないと、手が付けられなくなってしまったのです。
例えば、被相続人である父親名義の預貯金が6千万円あったとします。
最高裁の判例が出る以前は、各法定相続人はこの6千万円について遺産分割協議をせずとも自己の法定相続分までは預貯金の払い戻しができました。
しかし、平成28年の最高裁判例以後は、例え生活費や葬儀費用、税金等の支払いがあっても、遺産分割が終了するまでは預貯金の払い戻しができません。
もし相続人同士が遺産を巡って争っていたような場合、この6千万円が宙ぶらりんのまま何年もほっとかれる事だってあるわけです。
こうなると、困るのはお金のない相続人です。
父親と一緒に母親が住んでおり、その母は父の預貯金で生活していたとなると、父死亡後は全く生活費を下ろせなくなってしまいます。
生活できなくなった母は、「背に腹は代えられない」ということで、自分に不利な内容の遺産分割協議書に判子を捺さざるを得なくなってしまいます。
言ってみれば「軍資金が豊富な相続人が笑い、軍資金に乏しい相続人が泣く」という結果をもたらしてしまいかねない。
そこで、今般の改正で新たに「遺産である預貯金に関する仮払等制度」として
①家庭裁判所の判断を経ないで預貯金の払い戻しを認める制度
②家事事件手続法の保全処分の要件を緩和する制度
の二制度が創設されたのです。
次回は、この二制度の具体的な中身について説明したいと思います。

こんにちは、税理士の枌です。

 

民法相続編改正シリーズの第5回ですが、前回に引き続き「遺産分割に関する見直し」から「遺産である預貯金に関する仮払等制度の創設」を取り上げてみたいと思います。

 

この制度は、平成28年の最高裁の判例がきっかけで誕生しました。

 

預貯金の一般的なイメージは「自分のお金が銀行や郵便局の口座の中に入っていて、いつでも自由に引き出せるので現金と同じ」というものではないでしょうか。

 

しかし厳密には、預貯金とは「債権」であり、複数人で分ける事ができるので「可分債権」とも言います。

 

被相続人が相続開始の時において「可分債権」を有していた場合、その可分債権は当然分割されて法定相続人が各相続分に応じて権利を承継する、というのがそれまでの遺産分割でした。

 

そうは言っても、相続人の全員で「A銀行の預貯金は長男が、B銀行の預貯金は長女が相続する」という分割協議が成立すれば、当然分割ではなく個別に相続取得することも可能です。

また遺言で預貯金を特定の相続人に取得させることもできます。

当社で相続のお手伝いをさせて頂いたケースでは、ほぼ100%のお客様でこのどちらかで預貯金を相続取得しています。

 

なので「預貯金を法定相続人が法定相続分で分割取得する」という遺産分割は、よほどバチバチに揉めまくったケースでしかお目にかかれないのだと思います。

 

この扱いが、平成28年12月19日の最高裁判例でガラッと変わり、預貯金は「相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割される」のではなく、「遺産分割の対象となるもの」になったのです。

 

つまり、被相続人の預貯金については「遺言で相続取得者が指定されている」か「相続人同士の分割協議で相続取得者を決定した」かのどちらかでないと、手が付けられなくなってしまったのです。

 

例えば、被相続人である父親名義の預貯金が6千万円あったとします。

 

最高裁の判例が出る以前は、各法定相続人はこの6千万円について遺産分割協議をせずとも自己の法定相続分までは預貯金の払い戻しができました。

しかし、平成28年の最高裁判例以後は、例え生活費や葬儀費用、税金等の支払いがあっても、遺産分割が終了するまでは預貯金の払い戻しができません。

 

もし相続人同士が遺産を巡って争っていたような場合、この6千万円が宙ぶらりんのまま何年もほっとかれる事だってあるわけです。

 

こうなると、困るのはお金のない相続人です。

 

父親と一緒に母親が住んでおり、その母は父の預貯金で生活していたとなると、父死亡後は全く生活費を下ろせなくなってしまいます。

 

生活できなくなった母は、「背に腹は代えられない」ということで、自分に不利な内容の遺産分割協議書に判子を捺さざるを得なくなってしまいます。

 

言ってみれば「軍資金が豊富な相続人が笑い、軍資金に乏しい相続人が泣く」という結果をもたらしてしまいかねない。

 

 

そこで、今般の改正で新たに「遺産である預貯金に関する仮払等制度」として

①家庭裁判所の判断を経ないで預貯金の払い戻しを認める制度

②家事事件手続法の保全処分の要件を緩和する制度

の二制度が創設されたのです。

 

次回は、この二制度の具体的な中身について説明したいと思います。

 

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