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スタッフブログ

民法相続編の改正⑥

2020.01.17

 

こんにちは、税理士の枌です。
今日は、前回の続きで「遺産である預貯金に関する仮払等制度」として新たに創設された
①家庭裁判所の判断を経ないで預貯金の払い戻しを認める制度
②家事事件手続法の保全処分の要件を緩和する制度
の二制度について詳しく触れてみたいと思います。
まずは「家庭裁判所の判断を経ないで預貯金の払い戻しを認める制度」から解説します。
(モデルケース)
父が死亡し、相続人は母(父の配偶者)と二人の息子です。
父は次の二つの銀行に預金を持っていました。
X銀行
普通預金  780万円
Y銀行
普通預金  600万円
定期預金① 300万円(満期到来前)
定期預金② 900万円(満期到来済)
前回のブログでも説明したとおり、父の預貯金は遺産分割の対象ですので、母と二人の息子の遺産分割が成立しない限り一切手を付ける事ができません。
しかし、父の預貯金で生活していた母は遺産分割がまとまるまでどうやって生活すればいいのでしょう。
そこで誕生した制度が「家庭裁判所の判断を経ないで預貯金の払い戻しを認める制度」です。
この制度は
①各共同相続人は相続開始時の預金残高の3分の1に自己の相続分の割合(この例の母なら2分の1)を乗じた金額(※)を
②遺産分割が成立しなくても家庭裁判所の判断を経ずに引き出すことができる
というものです。
(※)同一の金融機関からの引出し上限は150万円
従って母が遺産分割成立前に単独で父の口座から引き出せる預貯金額は
X銀行
普通預金→780万円×1/3×1/2(母の法定相続分)=130万円<150万円  ∴130万円
Y銀行
普通預金→600万円×1/3×1/2(母の法定相続分)=100万円
定期預金①→満期到来前のため払い戻し不可
定期預金②→900万円×1/3×1/2=150万円≦150万円
合計 100万円+150万円=250万円≧150万円   ∴150万円
で、合わせて280万円を引き出すことができるということです。
注意点は同一の金融機関につき引き出せる上限が150万円であるというところです。
なので、相続後に引き出せる金額を増やしたいのであれば、金融機関は複数に分散しておいた方が賢明でしょう。
1億円を一つの銀行に預けたら、引き出せる上限は150万円ですが、1000万円を10の銀行に分散しておけば、最大で1500万円を引き出すことが可能ですからね。
次に、もう一つの「家事事件手続法の保全処分の要件を緩和する制度」について解説します。
家庭裁判所は、相続人から遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、生活費などの支払いのために遺産(預貯金限定)を必要としている人に預貯金の全部又は一部を仮に取得させることができることになりました。
従来も似たような制度はあったのですが、非常に要件が厳格であり、相続実務ではほとんど使われていなかったのが現実です。
ただし、この制度も他の共同相続人の利益を害することはできませんのであしからず。

こんにちは、税理士の枌です。

 

今日は、前回の続きで「遺産である預貯金に関する仮払等制度」として新たに創設された

①家庭裁判所の判断を経ないで預貯金の払い戻しを認める制度

②家事事件手続法の保全処分の要件を緩和する制度

の二制度について詳しく触れてみたいと思います。

 

まずは「家庭裁判所の判断を経ないで預貯金の払い戻しを認める制度」から解説します。

 

(モデルケース)

父が死亡し、相続人は母(父の配偶者)と二人の息子です。

父は次の二つの銀行に預金を持っていました。

 

X銀行

普通預金  780万円


Y銀行

普通預金  600万円

定期預金① 300万円(満期到来前)

定期預金② 900万円(満期到来済)

 

前回のブログでも説明したとおり、父の預貯金は遺産分割の対象ですので、母と二人の息子の遺産分割が成立しない限り一切手を付ける事ができません。

しかし、父の預貯金で生活していた母は遺産分割がまとまるまでどうやって生活すればいいのでしょう。

 

そこで誕生した制度が「家庭裁判所の判断を経ないで預貯金の払い戻しを認める制度」です。

この制度は

①各共同相続人は相続開始時の預金残高の3分の1に自己の相続分の割合(この例の母なら2分の1)を乗じた金額(※)を

②遺産分割が成立しなくても家庭裁判所の判断を経ずに引き出すことができる

というものです。

(※)同一の金融機関からの引出し上限は150万円

 

従って母が遺産分割成立前に単独で父の口座から引き出せる預貯金額は

X銀行

普通預金→780万円×1/3×1/2(母の法定相続分)=130万円<150万円  ∴130万円

 

Y銀行

普通預金→600万円×1/3×1/2(母の法定相続分)=100万円

定期預金①→満期到来前のため払い戻し不可

定期預金②→900万円×1/3×1/2=150万円≦150万円

合計 100万円+150万円=250万円≧150万円   ∴150万円

 

で、合わせて280万円を引き出すことができるということです。

 

注意点は同一の金融機関につき引き出せる上限が150万円であるというところです。

なので、相続後に引き出せる金額を増やしたいのであれば、金融機関は複数に分散しておいた方が賢明でしょう。

 

1億円を一つの銀行に預けたら、引き出せる上限は150万円ですが、1000万円を10の銀行に分散しておけば、最大で1500万円を引き出すことが可能ですからね。

 

 

次に、もう一つの「家事事件手続法の保全処分の要件を緩和する制度」について解説します。

 

家庭裁判所は、相続人から遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、生活費などの支払いのために遺産(預貯金限定)を必要としている人に預貯金の全部又は一部を仮に取得させることができることになりました。

 

従来も似たような制度はあったのですが、非常に要件が厳格であり、相続実務ではほとんど使われていなかったのが現実です。

 

ただし、この制度も他の共同相続人の利益を害することはできませんのであしからず。

 

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